今回は、インビザライン矯正治療において非常によくあるゴムかけについてお話ししていきます。
インビザラインにおけるゴムかけとは??

ゴムかけとは、見た目は小さな小さな輪ゴムを患者さまご自身で所定の歯およびインビザラインのマウスピースの所定の場所に引っかけていただいて使用します。患者さまの歯並びやかける場所、かけ方によってゴムの種類(強さ:大きさ、太さ)は全く違います。
ゴムかけの効果
ゴムかけは患者さまによって使い方や意味合いが違います。
- 歯を動かす補助
例えば一番奥の奥歯を後ろに動かす時(遠心移動)に、イメージとして一番奥の歯は後ろから二番目の歯を押して自分(一番後ろの歯)が後ろに移動します。この繰り返しで歯は後ろへ移動していく(遠心移動)のですが、奥歯と前歯は歯の大きさが違います、奥歯の方が前歯より大きいのですが、順番に後ろへ移動させていくとある時、前歯が押し合いに負けて前に倒れることがあります。奥歯を後ろに移動させたいのに押し合いに負けて逆に前歯が前に倒れてしまうのです。ちょっと難しい話になってしまいましたが、前歯が押し合いに負けて前方に倒れないようにゴムかけをするのです。ゴムをかけて前歯が倒れないように助け、奥歯がスムーズに後ろへ移動するようにします。奥歯を後ろへ移動させる(遠心移動)治療計画の人にとってゴムかけは治療の進み具合に非常に影響します。
- 噛み合わせの改善
噛み合わせの改善を目的に使用していただくこともあります。上顎と下顎の嚙み合わせの前後的なズレを改善する時や歯を引っ張り出す(挺出)必要がある時などに使用します。
どのような人がゴムかけをするのか
私は主に以下の時にゴムかけをおこないます。
- 歯を遠心移動させる場合
- 噛み合わせを改善する場合
ゴムかけをする期間
歯の移動目標を達成するまでです。
たとえば遠心移動(歯を後ろに移動させる)させる場合は、前後的な位置関係が目標量まで移動すればゴムかけは終えますし、噛み合わせを改善する目的の場合は、しっかりと噛み合えばゴムかけを終えます。
インビザラインで使用するゴムかけの種類
ゴムの種類は豊富にあります。
強さで分かれていますが、強さ=大きさ、太さと考えて大丈夫です。
当デンタルオフィスで使用しているゴムは、主にその輪の大きさ 3.0㎜ 5.0㎜ 6.0㎜ 8.0㎜ があります。小さい方が使用する時は強い力となります。また、ゴムの太さもその強さに影響があります。
ゴムかけは痛いのか
痛いと表現する人もいますが、基本的に通常の使用では痛くはないかと思います。ただし、強いゴムを使用する場合は多少痛むこともあります。複数箇所使用する場合は、お口が開きづらくしゃべりにくくなったりします。
ゴムかけの注意点
必ず指示通り使用してください。一日〇回交換してくださいとか就寝時のみ使用して下さい等細かく指示があるかと思います。全てにちゃんと意味がありますのでしっかりと守ってご使用ください。
一番良くないのはゴムを全然使わないことです。気持ちは分かります。面倒です。私もやっていたので分かります。でも使っていただかないと歯が計画通りに動きません。そうなるとどんどん治療期間が長くなってしまいます。
逆に使いすぎるのも良くありません。たとえば一日2回交換してくださいという指示に対して4回5回と変える人、就寝時のみ使用して下さいという指示に対して一日中使う人、歯が予定よりも動き過ぎてしまいます。使えば使うほど早く治療が終わるわけではありません。むしろ歯が動き過ぎると今度はそれを治すための治療で余計に期間が延びます。
ゴムかけもしっかりと指示通りにお願いいたします。
【執筆・監修者】
アラインクチュールデンタルオフィス 東京銀座院
院長 與儀 賢(よぎ さとし)
2015年 神奈川歯科大学 歯学部 歯学科 卒業
2022年 アラインクチュールデンタルオフィス 東京銀座院 院長就任
[講習会・セミナー]
2018年 Bio progressive Study Club basic seminar
2019年 ALIASリンガルストレートワイヤー ベーシックセミナー
2020年 フジタメソッド 歯列内側矯正セミナー
2021年 インビザラインシステム導入セミナー
2022年 プロシード歯科矯正用アンカースクリュー ベーシックセミナー