インビザライン矯正治療は手軽で簡単!と、思っている人が多いようです。
残念ながら思うようにいかなかったり挫折してしまう方もいます。
そうならないためにも、今回は失敗しないヒントをお話しします。
インビザラインを装着しましょう!
インビザラインは一日20時間以上使用しましょう。と、皆さん担当医に言われると思います。もちろんその通りですが、実は私はそう言いません。お食事時以外は装着しましょう。このようにお伝えしています。一日20時間以上の使用を…と言うとだいたいの人が20時間を目指します。よし、まだ〇時間は外せる!と外すことを考えてしまうからです。それだとマイナスな考えだと思いませんか?外すことを考えているうちに、段々と使用時間が20時間を下回るようになり、歯が計画通り動かなくなってしまいます。
お食事の際は、必ずインビザラインは外してください。装着したままお食事するとインビザラインが変形したり割れてしまいます。したがいまして、お食事以外は必ず装着する。これがインビザライン矯正治療でもっともシンプルで大切なことです。
指示された使用期間を守りましょう!
使用期間は患者さまによって(歯並びによって)違いますので具体的には言えませんが、担当医に言われた期間は必ず使用するようにしましょう。なぜなら、それは経験豊富な担当医があなたの歯並びと治療計画を考慮して決めた使用期間だからです。一番よくないのは、ご自身の判断で決められた使用期間より短い期間で交換すること。これでは計画通り歯は動きません。
よくあるのは、一日20時間以上使えない日があったけど決められた期間で替えていくこと。毎日毎日欠かさず一日20時間以上使える人はなかなかいません。会社の飲み会もあるでしょう。友人との会食もあるでしょう。一日20時間以上使えない日があったら、その日数分(にっすうぶん)使用期間を延長しましょう。一日だけ使えなかったら使用期間を一日延ばしてください。二日使えない日があったら二日使用期間を延ばして使ってください。そうすることによって日数は延びても歯はしっかりと計画通り動いてくれます。自分に正直に、ご自身で管理してください。
チューイーを噛みましょう!
インビザライン矯正治療において、非常に地味ですが非常に重要なモノ、チューイーです。
インビザラインを装着する時、指で押し込むだけだと完全に入りきっていないしっかりと装着できていないことが実は多々あります。チューイーを丁寧に噛むことによってインビザラインとアタッチメントがパチンとしっかりフィットします。しっかりとフィットして初めて計画通りに歯を動かしていくことができるというわけです。
また、チューイーを噛むと歯に力も加わるので、その加わる力の方向を考えて歯を動かすための補助の役割も果たせます。したがって、チューイーは二つの意味でも非常に重要だということです。
しかしながら、インビザライン矯正治療において慣れてくるとサボりがちになる行為No.1です。上記より非常に重要ですので、歯一本一本丁寧に噛むイメージでしっかりとチューイングしていきましょう!
歯科の基本、ブラッシングももちろん大事です!
インビザラインに限らずですが、矯正治療においてブラッシング(歯磨き)は非常に重要です。
矯正治療において歯を動かすと、歯と歯の間に必ず隙間ができてきます。その隙間に食べ物が詰まることがよくあります。よってブラッシングを丁寧におこない、隙間も綺麗にする必要があります。ブラッシングをおろそかにすると虫歯になってしまい、矯正治療を中断し虫歯の治療を優先することもあります。そしてそして、インビザラインは虫歯治療と相性が悪いです。なぜなら、たとえ小さな虫歯でも、治療をして多少歯の形が変わってしまうとインビザラインがキチンとはまらなくなってしまったりするからです。インビザラインがはまらなくなると、再度お口の中をスキャンしてインビザラインの作り直しとなります。よって、矯正治療が一旦止まってしまい結果として治療期間が延びてしまいます。矯正治療が止まり、治療期間が延びてしまうと患者さまのインビザライン矯正治療に対するモチベーションが下がってしまうこともあるので、歯科の基本であるブラッシングも丁寧にお願いします!
私がインビザライン矯正歯科治療を学んだ理由
矯正歯科治療には現在ワイヤーでおこなう従来通りの方法とマウスピース(アライナー)でおこなう比較的新しい方法があります。約100年にもおよぶ歴史がある矯正歯科治療は、ワイヤー矯正によってその学問および治療体系が確立されてきました。したがって矯正歯科医になるためには、大学病院矯正歯科もしくは矯正歯科開業医のもとでワイヤー矯正を学びそして実践し経験することが必須です。私も矯正歯科医を志し、歯科大を卒業後に研修医を経て大学病院矯正歯科へ入局しワイヤー矯正を通して歯科矯正学を専門的に学びました。
私は大学病院矯正歯科で診療しながら、並行して自分自身も矯正治療を受けました。ワイヤー矯正ではありますが、歯の内側にワイヤーを通すいわゆる裏側矯正(リンガル)で治療を受けました。なぜなら私はその時矯正歯科医として裏側矯正に興味があったからです。私の母校が裏側矯正を世界で初めて開発したというのも興味をもった理由の一つではあります。しかしながら裏側矯正は「異端」でした。本格的にやっている先生はとても少なく、裏側矯正を否定されている先生ばかりでした。私は大学病院とは別で、裏側矯正を世界で初めて開発した先生の流れを汲む開業医の先生の元で裏側矯正を学ばせていただきました。そこでは表側の矯正治療と同じくしっかりと綺麗に治っていく患者さまをたくさんみました。そのことから裏側矯正を否定されている先生方は、きっと裏側矯正を本格的に学んでいないんだなとその時に思いました。そこに気づいた時に、私はハッとしました。その当時矯正歯科医の多くが否定していたマウスピース矯正が、裏側矯正のそれと非常によく似た構図だったのです。そして実は私もその当時マウスピース矯正をよく思っていない矯正歯科医の一人でした。理由は簡単です。マウスピース矯正を本格的に学んでいないから、先輩や指導医が否定するのでたぶんその程度の治療法なのだろうと思っていました。私が裏側矯正を学んでいる時に、裏側を否定する先生方に憤りを感じていたのにも関わらず、私は学んでもいないマウスピース矯正を否定していました。そこに気づいた私は反省し、まずはマウスピース矯正とはどういうものなのかとりあえず学んでみようと決意しました。
前置きが長くなってしまいましたが、それが私がマウスピース矯正を学ぼうと思ったきっかけでした。マウスピース矯正を学ぶにはまず始めに学会に参加してみようと思い、マウスピース矯正について何の知識もないまま昭和大学主催のマウスピース矯正(アライナー矯正)の研究会に一人で参加しました。一応周りの同期や先輩も誘いましたがやはり誰もマウスピース矯正に興味がなく、結局一人で行きました。そして始まった講演を聴きながら、私はそれまでのマウスピース矯正に対する見方が変わっていきました。今振り返えると、当時登壇されていた先生方は今現在マウスピース矯正の重鎮でパイオニアの方々でした。そしてその登壇されていた中の一人として、アラインクチュールデンタルオフィス名古屋栄院院長でインビザライン社公認ファカルティーである竹内先生が登壇されていました。竹内先生の発表されていた症例は私の脳に強く印象に残り、マウスピース(インビザライン)でもしっかりと治るんだなと確信したのを覚えています。そうして段々とマウスピース矯正を学び始め、自分が受けていた裏側矯正も治療途中でインビザライン(マウスピース矯正)に切り替え、実際に自分自身でインビザライン矯正治療を体験しその良さ素晴らしさを体感していきました。
【執筆・監修者】
アラインクチュールデンタルオフィス 東京銀座院
院長 與儀 賢(よぎ さとし)
2015年 神奈川歯科大学 歯学部 歯学科 卒業
2022年 アラインクチュールデンタルオフィス 東京銀座院 院長就任
[講習会・セミナー]
2018年 Bio progressive Study Club basic seminar
2019年 ALIASリンガルストレートワイヤー ベーシックセミナー
2020年 フジタメソッド 歯列内側矯正セミナー
2021年 インビザラインシステム導入セミナー
2022年 プロシード歯科矯正用アンカースクリュー ベーシックセミナー
[所属団体・学会]
日本矯正歯科学会
日本舌側矯正歯科学会
東京矯正歯科学会