インビザラインは患者さまにとってもドクターにとっても非常にメリットの多い矯正治療の手段の一つですが、ネット検索するとネガティブなワードも多いです。
今回はインビザラインを後悔している人の後悔している内容に対して考えていきたいと思います。
① 治療結果への不満
これは第一に患者さまとドクターとのコミュニケーション不足が主な原因として挙げられます。通常は診断時に治療方針や治療目標をお伝えするのに加え、当院では必ずインビザラインのシミュレーションも作製しそれをお見せしながらご説明いたしますので、治療結果への不満はそのコミュニケーション不足によって認識に差があることが原因だと思います。
また、患者さまがコンプライアンスを守っていただけないと良い結果にならないパターンもあります。インビザラインはお食事時以外はずっと装着することが非常に大切です。そのお約束が難しい人(性格的もしくはお仕事的に)は、良い治療結果とはならないでしょう。
他に考えられるのは、ドクター側がインビザライン(マウスピース矯正)の実力不足で実際に想定通りに治らない場合やそもそも治療計画が良くないことも残念ながらあるようです。歯科矯正学はワイヤー矯正によって約 100 年の時をかけて確立されてきましたので、ワイヤー矯正は矯正歯科の根幹であり、矯正歯科医になるためには必ず学ぶ必要があります。しかしながらインビザライン(マウスピース矯正)はいわば矯正歯科の応用編です。ワイヤー矯正とは別に、インビザライン(マウスピース矯正)を新たに真剣に学ばないとインビザラインにおいてしっかりとした結果は出せないでしょう。ワイヤー矯正の名医=インビザラインの名医とは限らないということです。ワイヤー矯正ができればインビザライン(マウスピース矯正)は簡単にできると考えているワイヤー矯正の先生は多い印象です。
② 口腔内トラブル
口腔内トラブルとして「歯茎が下がる」と言われています。歯茎が下がることを歯肉退縮といいます。たしかに起こる可能性はありますがそこまで多くはありません。しっかりと分析して無理なく考えられた治療計画でしたら歯肉退縮はあまり起こらないでしょう。また歯肉退縮は年齢にも依存しますので、20代よりは30代、30代よりは40代と年齢が高い人の方がそのリスクは高くなっていきます。
一番多い副作用の一つとして「ブラックトライアングル」が挙げられます。歯肉退縮と少し似ていてブラックトライアングルを歯肉退縮だと思っている患者さまもおりますが、ブラックトライアングルは実は歯茎が下がったわけではなく、歯が重なり合って歯肉がないところの歯並びを整えたことによって歯茎が下がったかのように見える現象のことです。ブラックトライアングルがよくできるところは、歯が重なり合ってガタガタしているところを並べたり、すきっ歯もしくは歯を抜いてそのスペースを閉じたところなどにできやすいです。気になるようでしたらある程度対処はできます。ブラックトライアングルは残念ながらワイヤー矯正、インビザラインその両方でよく起こります。
あとは虫歯や歯周病でしょうか。これもインビザラインに限りません、むしろワイヤー矯正の方がリスクとしては高いでしょう。ワイヤー矯正は歯に装置をくっつけているため、装置を取り外すことのできるインビザラインより歯磨きが難しく虫歯および歯周病のリスクが高くなってしまいます。矯正治療中は特に寝る前の歯磨きをしっかりと毎日おこなっていただき歯のクリーニングにも定期的に通っていただければ矯正治療中でも問題ないです。
③ 治療期間の長期化
治療を早く終えたい(終えてあげたい)のは患者さまだけでなく僕たち術者も含めて皆さんそうだと思いますが、残念ながら劇的に矯正治療が早くなる方法は今のところありません。患者さまによりますが、お口全体の矯正治療(歯を動かす治療 ; 動的治療)はおおむね 1 年半~ 3 年ほどでしょうか。こればかりは早くなりません。
逆に治療が長引いてしまうことももちろんあります。医療に「絶対」はありません。インビザライン(マウスピース矯正)はワイヤー矯正より治療期間長いんですよね?とよく質問されます。答えは NO です。本来は同じです。むしろ多少早くなることも全然あります。ただし、患者さまが毎日正しくしっかりと指示通りにインビザラインを使っていただくことが最低条件です。それができないと、少しずつ少しずつ治療が遅れていきます。そして改善されなければ治療が長期化してしまう可能性があります。しっかりとご使用いただければ、モチベーションが下がってしまっても改善できれば問題ございません。そのお手伝いは我々の役目です。
④ 費用面
インビザラインの費用に関しましてはワイヤー矯正よりも若干高く設定されているクリニックがほとんどかと思います。その理由としましては、インビザラインにおいてはどうしてもインビザライン社のシステム利用料がかかってしまうので、その分ワイヤー矯正よりも少しお高くなってしまいます。こればかりはどうしようもないです。しかしながらインビザラインにおける矯正治療のメリットは非常にたくさんあります。ワイヤー矯正の費用との差を鑑みてもインビザラインで治療をおこなうメリットは非常に大きいと僕は考えています。
当院の費用のリンクやコラムを張り付けておきますのでぜひ参考にされてください。https://acdo-tokyo-ginza.com/price/
【執筆・監修者】
矯正歯科アラインクチュール 東京銀座院
院長 與儀 賢(よぎ さとし)
2015年 神奈川歯科大学 歯学部 歯学科 卒業
2022年 アラインクチュールデンタルオフィス 東京銀座院 院長就任
[講習会・セミナー]
2018年 Bio progressive Study Club basic seminar
2019年 ALIASリンガルストレートワイヤー ベーシックセミナー
2020年 フジタメソッド 歯列内側矯正セミナー
2021年 インビザラインシステム導入セミナー
2022年 プロシード歯科矯正用アンカースクリュー ベーシックセミナー
[所属団体・学会]
日本矯正歯科学会
日本舌側矯正歯科学会
東京矯正歯科学会